<巻頭メッセージ>
『平和の道に導く方』
内川高志 Takashi Uchikawa
明石キリスト教会(兵庫県)
<INDEX>
- クリスマス特集 ~信徒の体験談
・漁師町に届いた愛のバトン 牛深キリスト教会員
・主は来ませり 須崎福音キリスト教会員
- クリスマス特集 「神との平和 人の平和」
平松 契 めぐみキリスト教会(東京都)
- クリスマス特集 「クリスマスの賛美と平和」-キリストにある平和-
三上かをり サンライズのぞみ教会(埼玉県)
- クリスマス特集 「主の平和をもたらすものへ」
高木謙次 天塚キリスト教会(愛知県)
- 教団のあゆみ2022
- 中央聖書神学校(CBC)掲示板
- 聖書と映画 【杉原 千畝 スギハラ チウネ】
- 教会のクリスマスへのお招き
クリスマスメッセージ『平和の道に導く方』
内川高志 Takashi Uchikawa
明石キリスト教会(兵庫県)
「暗黒と死の陰にすわる者たちを照らし、われらの足を平和の道に導く。」(ルカの福音書1:79 )
イエス・キリスト誕生の夜、「天に栄光、地に平和」と歌う天使の声が空に響(ひび)きました。ここに鮮(あざ)やかな対比があります。神の住まう天は、光り輝く栄光と平和に満ちています。一方、地では闇が支配し、嘆(なげ)き悲しみが絶えません。しかし、「地に平和」と天使は歌いました。キリストの誕生により、天の平和が地上にもたらされたからです。
当時、ユダヤを治めていたヘロデ大王は、東方の博士から救い主誕生を知らされると自分を脅(おびや)かす未来の王を恐れ、ベツレヘム近郊の幼児を虐殺(ぎゃくさつ)します。晩年には、疑心暗鬼(ぎしんあんき)に駆(か)られて実の家族をも次々と粛清(しゅくせい)し、市井(しせい)の人々は「ヘロデの息子でなくてよかった!」と噂(うわさ)したのです。箴言17章1節に「一切れのかわいたパンがあって、平和であるのは、ごちそうと争いに満ちた家にまさる」とあります。権力も富もあったヘロデの家は、しかし争いが絶えず、平和を失った家でした。「私に必要ない」とキリストを退ける心は、どこまでいっても平和を得ることのない闇の心、罪の心なのです。クリスマスの本当の喜びは、この罪の心を捨て、平和の君であるイエスを求め、自らの心にお迎えすることから始まります。
数年前、目を引く金髪の女性が私たちの教会を初めて訪れました。やがて彼女は進行性の癌(がん)を患(わずら)い末期であること、死の恐怖に苛(さいな)まれていることを打ち明けたのです。その後、熱心に求道し、罪を悔い改めて主を信じ、洗礼を受けました。程なくして病状が悪化。ホスピスで息を引き取った彼女の葬儀が教会で行われました。その際、未信者のご家族が「どうしてあんなに変わったのかと不思議でしたが、ここであの子は変えられてたんですねぇ。本当によかった」と仰(おっしゃ)った言葉を忘れることができません。一時は人生に絶望して自暴自棄(じぼうじき)になりましたが、主を信じて変わりました。死を超える永遠のいのちの希望を得、神との間に平和を得た彼女は、家族や友人が驚くほどに明るく活動的になり、残された時間を駆(か)け抜けていったのです。
あなたの心に、平和の君イエスをお迎えしましょう。主はあなたの罪を赦(ゆる)し、神との平和に導いてくださいます。さらに平和を運ぶ器、平和を祈るとりなし手として用いてくださいます。キリストの平和がやがて必ず全地に満ちると信じ、「私たちの足を平和の道へお導きください」と、日々に祈り求めましょう。