vol.12- column 聖書の中の植物-没薬(ミルラ)

《福音》恵みのおとずれ 2000年8月号

motuya

「没薬(ミルラ)」

 …見よ、東方で見た星が彼らを先導し、ついに幼子のおられる所まで進んで行き、その上にとどまった。その星を見て、彼らはこの上もなく喜んだ。そしてその家にはいって、母マリヤとともにおられる幼子を見、ひれ伏して拝んだ。そして、宝の箱をあけて、黄金、乳香、没薬を贈り物としてささげた。
(マタイの福音書2: 9~11)

イエス・キリストの降誕の時、東の国の博士たちは、贈り物の1つとして没薬をささげました。この没薬は植物から採集したものです。
 没薬の木はカンラン科の低木で、枝にはとげあり、4弁の白い花を咲かせ、杏(あんず)のような実をならせます。幹に傷をつけると、樹皮から油状の樹液が出、これを採集し、乾かして固めると没薬ができます。採れた没薬は苦くて香りを持っており、温めたり燃やしたりすると強い香りを放ちます。痛み止めや防腐剤にも用いられました。

 新約聖書の中には、他にも没薬のことが2ケ所に出ています。ひとつはイエス・キリストが十字架につけられた時です。人々はぶどう酒に没薬を混ぜて、イ工ス・キリストに飲ませようとしました。これは苦しみをやわらげるための麻酔剤とする定めだったようです。

 けれどもこの時、イ工ス・キリストはそれをお受けにならず、苦しみをそのまま受けられました(マルコ15:23 )。まだ、もうひとつの所は、十字架で死なれたあとの記事です。からだに没薬をまぜた油が塗られ、防腐剤として用いられました(ヨハネ19:39)。

 没薬は死者への贈り物であると言われてきました。生まれたばかりのイ工ス・キリストへの博士たちのこの贈り物は、イエス・キリストが私たちのまことの王、最高の教い主として、そのいのちをささげてくださることを予告するものだったのです。イ工ス・キリストが.この世に生まれたのは、私たちのために十字架で死んでくださるためでした。

 イエス・キリストの生涯の最初と最後に登場する没薬は、イエス・キリストの全生涯を象徴するといえるのではないでしょうか。