《福音》恵みのおとずれ 1999年 3月号

 先日、車を運転中に前から走ってきた車がライトを突然点灯させてきました。「ライトを消し忘れたかな?」と思い確認しましたが異常はありませんでしたので、そのまましばらく走りました。

 下り坂を終えてしばらくすると前方には10人以上の人がいて、道路の中央まではみ出していました。その瞬間「しまった!」という思いで心の中がいっぱいになり、動揺が隠せませんでした。なんとそれはスピード違反の取締まりだったのです。その瞬間に、あの対向車のライトはこのことを教えてくれていた合図だったのだ、とわかりましたが時はすでに遅く、検問はすぐそこまできていました。下り坂を終えたところでしたので、制限速度をオーバーしていたことは明らかでした。バックミラーを見ると後続車ははるか後ろにあり、この場所で取締まりをしているということは有名だったのかもしれません。前を走っていた車が一台あり、その車は警察官の誘導に従って道路脇に入っていきました。

 私は覚悟を決めて、自分の不注意を悔いていたのですが、なんと前に出てきた警察官は、私に向かって通りすぎるように指示し始めたのです。なにが起ったのかわからないまま、心の中で「ありがとう!」と叫びながら通り過ぎていきました。おそらく、前の車に近づいて、同じ速度で走っていたために私の車の速度を計測できなかったためだろうとあとで思いました。

 聖書は、私たちの中に罪があり「罪からくる報酬は死」であると語ります。この罪は自分身を苦しめるだけでなく、他の人までも巻き込みます。しかし、私たちの前を走り、私たちの罪を背負って、私たちの身代りに裁かれてくださった方がおられます。その方の身代りを信じる時、私たちはもう罰せられることを心配したり、恐れながら生活する必要はありません。「あなたの罪は赦されました」と、十字架の上からイエス・キリストは宣言してくださるのです。「ありがとう!」と叫び続ける人生を、あなたも送ってみたいと思いませんか。

文・藤村 良彦