三浦氏が一九七二年八月から一九七四年三月まで『信徒の友』に連載し、後に加筆、一九七四年十二月に出版されたのが本書である。
《福音》恵みのおとずれ 1998年11月号
『旧約聖書入門』とあるが旧約聖書三十九巻すべてについて記してはいない。全十六章のうち八章が創世記に関するもので、あとはそれぞれ一章ずつ、出エジプ卜記、土師記、ルツ記、ヨブ記、詩篇五十一篇、箴言、イザヤ書、最終章は断章として雅歌(がか)、出工ジプ卜記、列王記について触れている。それぞれの書に登場する人物を中心に筆を進めている。
氏が書中で何度も繰り返し言い、著者のことばとして「わたしとしては、この書をひとつの手がかりとして、一人でも多くの方が聖書に親しんで下さるなら、と言う切実な祈りをこめてぺンを進めたのである」と書いているように、この本を読めば旧約聖書が全部わかるわけではない。旧約聖書の面白さのエッセンスが読者に届けられているのである。本書を読み「面白いな」と感じたら、すぐに旧約聖書と言う大きな山に登ってみては如何。
二十六年も前に書かれたもので時代は随分変化しているが、本書は今も新鮮さを失っていない。それは聖書についての文章だからである。聖書は古い。しかし常に新しい。旧約聖書は古い。しかし今も読む者の内なる霊性に新しい世界を示している。
ところで、表紙の折返しに今は亡き天才、寺山修司の推薦文が載っている。寺山と三浦氏の接点は一体何処にあるのか。不思議なことだ。
苫小牧・山手町神召教会牧師(現・山手町教会)
大坂克典(召天)