《福音》恵みのおとずれ 1996年6月号
浜松市に住む友人から、食パンを頂いた。
色白ではないが、しっとりとして重く、トースターから香ばしいかおりが漂ってきた。噛みごたえのある実に味わい深いパン。聞くところによると、先ず麦を栽培し、全粒粉を使用しているそうである。
先日手元に届けられた本に、これと似たような記事があった。こだわり屋の某氏は自分で麦を栽培し、庭では放し飼いのニワトリが土をついばみ、その卵をパン生地に練り込み、焼き釜も、燃料の炭に至るまで手作りといったこだわりよう。納得のいくパンはやっぱりしっとりとして重い。やたら軽くて、白いソフトパンが店頭に並び、売られている昨今、心を込めて中に入れるものも吟味しで、となると自ずと慎重になるのではないか。
岐阜の明智鉄道沿線の或る町では、こだわりのカステラを焼いている.卵黄と蜂蜜だけでゆっくり、じっくり練り上げ、その上焼き上げたものは翌日食す。これ又、美味。前述のパン同様、噛みごたえのある味わい深いものである。私の家ではもう何年になるだろう、毎年2月頃から、ストーブの上でママレード作りがはじまる.伊予柑から始まり、オレンジ、甘夏と続く。皮脂を取り除き、煮立てては洗い流しを繰り返し、5時間程で甘味控えめのママレードの出来上がり.朝食を賑わす一品です。
神様は“無”から創造の業を遂行されました。「それは非常によかった」 と聖書は記しています。
造る、創る、作る、つくる。これらの字の他にないので私はパソコンで外字「(つくる)」を入力してみました。心を込めて、手を使い、こだわって つくる 時に使ったら如何かな。
文・渋沢清子