《福音》恵みのおとずれ 1991年 10月号

 5000年ぐらい昔、メソポタミアの羊飼いたちは、夜空を見上げながら、星の並び方から、物語の主人公になる人、動物をなぞらえ名前をつけるようになりました。
 テレビも宿題もない時代でしたので、夜空に光る星が彼らの創造力をかき立てたのでしょうか、それとも暇をもてあましていたのかもしれません。
 それがギリシャに伝えられて、星座が神話、伝説の教科書になったのです。
 10月の星座は頭上にペガサスの大四辺形が光り、その南に魚座の口にある秋空でたった一つの一等星が見えるはずです。星を見るためにいちばん必要な星は、なんといっても北極星です。


 天体望遠鏡で土星を見た時、気がついた事がありました。私には天体望遠鏡の扱い方がわからなかったので人に頼んで見つけてもらったのですが、レンズを覗いたところ、あるべきはずの土星が見えません。
 後でわかった事ですが、土星が動いているのです。ですから、星を見る時はまず北極星を見つける事です。
 なぜなら、ある星は北極星を中心に回っています。まず北極星を見つけて他の星を見つけない限り、他の星の軌道が分からないので、レンズの中におさまらなく、見失うとのことです。

 私たちもいろいろな事に関心を持ち熱中します。一生懸命、心のレンズでいろいろなものを見つけようと努力しますが、見失うことが多いようです。
 そこで心のレンズの焦点を天地万物の生ける神様に合わせるならば物事がはっきり見えるようになります。
 なぜなら、この神様は私たちを造り、今もあなたを愛しておられる神様です。さらにその焦点をよく合わせるなら、神様が全人類にお与え下さったイエス・キリストを知るでしょう。あなたの探しているものとまだほど遠いように思えるかもしれませんが……。
 全てのものの中心となるしるしが北極星であるようにイエス・キリストの十字架は一番大切な焦点となるのです。私たちの罪の身代わりとして十字架上で死なれたお方は私たちに赦しを与えて下さいました。
 この赦しこそ中心の中のさらに核心の部分となります。

文・内村 義宣