《福音》恵みのおとずれ 1999年8月号

「ハト」

 ハトは、平和のシンボルとして人々から愛されてきた鳥です。みなさんもいろいろなところでハトの描かれたポスターやマークを目にしたことがあると思います。みなさんは、そこに描かれたハ卜がオリーブの葉をくわえているのに気がつきましたか。

平和のシンボルとしてハ卜が描かれる時には、いつもそのくちばしにオリーブの葉をくわえているのです。一体なぜでしょうか。その答えは聖書のなかの「創世記」に書かれています。

 創世記の6章にノアという男の人が登場します。ノアは「地上に人の悪が増大し、その心に計ることがみな、いつも悪いことだけに傾く」(創世記6章5節)時代に生きていました。けれどもノアは「あなたがこの時代にあって、わたしの前に正しいのを、わたしが見たからである」(創世記7章1節)と神様がおっしゃるほど心から神様を信じている人でした。神様はノアにこの時代の人々に下そうとしている審判から逃れる方法をお示しになりました。それがあの有名な箱舟です。

 四十日四十夜、神様の裁きの雨は降り続き、世界は水でおおわれてしまいました。けれども、ノアと彼の家族は箱舟のなかで無事守られていました。四十日たって、ノアは水がひいたかどうか見ようと、力ラスを箱舟の窓から放ちましたが、足の裏をとどめる所がなく箱舟に帰ってきました。

 それからノアは、ハトを放ちますがやはり帰ってきました。一週間がすぎて、ノアはまたハ卜を放ちました。ハ卜はくちばしにオリーブの若葉をくわえて戻ってきました。

 洪水が去ったという良い知らせは、ノアの放ったハトがオリーブの若葉をくわえてきたことによって伝えられたのです。このことから、くちばしにオリーブの葉をくわえたハトが、平和のシンボルとして描かれるようになったのです。

 聖書のなかのローマ人への手紙10章15節に「良いことの知らせを伝える人々の足は、なんとりっぱでしょう」と書かれています。ハ卜がその翼で良い知らせを運んだように、私たちも人々に自分の足をもって良きおとずれを運ぶ者になりたいものですね。