《福音》恵みのおとずれ 1995年 2月号
「主は羊毛のように雪を降らせ、灰のように霜をまかれる。主は氷をパンくずのように投げつける。だれがその寒さに耐ええようか。主が、みことばを送ってこれらを溶かし、ご自分の風を吹かせると、水は流れる」(詩篇147)
毎日、寒い日が続きますね。特に雪国の人は厳しい寒さとの戦いに明け暮れていることでしょう。
スキーヤーにとっては絶好のチャンスでしょう。しかし多くの人たちは朝夕の通勤時間に厚いコートに身を固く閉ざし、この寒い日々を過していることでしょう。まして冬空に外で働いている人たちにとっては一年中でいちばんつらい季節ではないでしょうか。
ある学校の授業で「雪が溶けたら何になる?」という質問がありました。多くの生徒は「水になる」と答えました。それに対してある生徒は「春になる」と答えたそうです。この答えはとても味のあるすばらしい答えだと思います。
そうです。もうすぐ雪や氷も溶けて黒い土があらわれ、緑の野草も芽を出し、梅の花が咲きこぼれて鴬(うぐいす)が鳴き、菜の花が畠(はたけ)一面に黄色い花を咲き誇る春がやってくるのです。今はたとえどんなに厳しい冬であっても山川草木が一斉に新しい命の息吹きを吹きいれて、冬眠から目覚める春は確実にやって来ます。
今、私たちの住んでいる日本は経済不況という冬の空に覆われています。バブル経済が崩壊し、多くの企業はリストラ(人員整理などによって経費を削減すること)を余儀なくされているようです。それでもなお再建のメドが立たないで倒産に追い込まれる会社もあります。また大学を卒業しても就職がなかなか決まらない人もいるようです。その外にも家庭崩壊、登校拒否、精神的な病気、肉体的な疾患などで苦しんでいる人たちも決して少なくはありません。これらの問題はその人自身にとって、ちょうど冬のようです。毎日苦しく辛い日々を過していることでしょう。
どんなに寒い冬であっても、必ず暖かい春が巡ってくるように環境も状況も移り変っていきます。どんなに難しい課題であっても、必ず解決の時があります。ですから、あせらず、あきらめずに神様に祈りながら、じっと忍耐することが最善の道です。
「冬来たりなば春遠からじ」
文・相原 健二