サケては通れない
旬のグルメ!

サーモン食べて、
サーモン(礼拝説教)を
聴こう!

 栄養士から見た

 心と体の健康 Vol.10

月刊アッセンブリーNEWS 2016年9月1日号より

汐澤美紀
 Miki Shiozawa
八王子シャロン教会


「……湖に行って釣りをして、 最初に釣れた魚を取りなさい。その口をあけるとスタテル一枚が見つかるから、それを取って、わたしとあなたとの分として納めなさい。」

(マタイ17:27)

 新約聖書で描かれているスタテル(銀貨)を口に含んでいた魚はガリラヤ湖でよく獲とれるティラピアという白身魚です。皆さんにはSt.Peter’s Fish(聖ペテロの魚)という名の方が馴な染じみ深いのではないでしょうか?

 しかし、現代のイスラエルグルメ情報ではガリラヤ湖で獲れるマトウダイという魚もお勧めのようです。

 このマトウダイ、面白いことにフランス語では「サンピエール」と言って「聖ペテロ」という名の魚です。

 マトウダイの特徴は黒い斑紋(はんもん)。その斑紋がペテロの親指の跡とか、銀貨の丸い形が表れたとか色々と逸話(いつわ)がありますが、フランス料理ではムニエルの定番です。
 庶民にとっては高値(高嶺[たかね])の花。もちろん、ティラピアとは全然種類が違います。

 イスラエルの白身魚も美味しいですが、日本で良く食べられている秋に美味しい白身魚と言えば……鮭さけ!ですね。旬の魚として鮭は”サケ”ては通れません!! 

 しかし疑問が。鮭の身は赤いのに、なぜ鮭は白身魚なのでしょうか? それは、鮭のエサのオキアミが赤い藻(も)[ヘマトコッカス藻]を食べているからです。そのオキアミを鮭が食べているから、身が赤く染まってしまうのです。エビ・カニ・鯛(たい)の赤い色もこの藻によるものです。ちなみに鮭と鱒(ます)は同じ魚種で、キングサーモンの別名は「ますのすけ」(すけ=大きいという意味)ですし、ヒメマス(湖)とベニサケ(海)は同じ魚ということです。生息地域などによって名前が変わるという、目からウロコが落ちるお話ですね。

 鮭は北洋で大きく成長して9月に生まれた川を上り始めますが、初めて川をさかのぼる鮭を「初鮭」と呼び、江戸時代には将軍家へ献上されたぐらいに珍重され、その時代には相当高価なものだったそうです。

 今や庶民の味方の鮭にはカルシウムの吸収を促進するビタミンDや糖質、脂質、たんぱく質の代謝に重要なビタミンB6、さらに、脳など神経系に良いDHAや血液の健康を保つEPAも豊富に含まれています。しかし、何と言っても老化の原因となる活性酸素を除去する作用がビタミンCの6000倍もあると言われているアスタキサンチンが豊富!抗炎症作用もあり、目も保護しますので、聖書をたくさん読んでも疲れ知らずに!? さらに鮭の脂質は中性脂肪やコレステロールが付きにくいのです。たんぱく質が多く、炭水化物は少ないので肥りにくい食材で、ダイエットにもお薦めです。

 ただし、たんぱく質が豊富な鮭は”タンパク”な味ですので、味付けが濃くなる傾向があります。また、塩漬けのものも多いので、塩分を多く摂(と)りすぎてしまう可能性があります。塩分を気にしつつ、あまり濃い味付けにするのは控えましょう。皮の部分にコラーゲンなどの栄養がありますから、皮も食べましょう。

 旬のサーモン(salmon鮭)食べて、サーモン(sermon礼拝説教)聴いて、頭も冴(さ)えて、目を輝かせ、鱒(ます)ます元気に主に仕えて行きましょう!