《福音》恵みのおとずれ 1996年2月号

あれから一年がすぎました。

 未曾有(みぞう)の大惨事となった阪神・淡路大震災、交通が寸断されている事を承知の上で、私と腹話術人形を載せて、東の空がやっと明るくなろうとする早朝、岐阜を出発し、車は西へと向いました。家を失った人達が避難しているところ、公園でも学校でも集会所……どこでもいい、ひとときを笑いで過ごして頂けるなら……。

 尼崎ICまでは快調だったのに、高速道路を降りるや否や、ごった返す道路は満載の瓦礫(がれき)を積んだトラック、車の間を縫うように、うまくすり抜けていくバイク等々、主要道路は通行不能状態、道路不案内な私は、祈る思いで無線機のスイッチON。CQ CQを発進。

 『神が私たちの味方であるなら、だれが私たちに敵対できるでしょう』神様はすべてをご存知です。私が飛ばした電波を、西宮で被災して、「今日は動けない」 と言う、一男性がマンションの一室でキャッチしました。ちなみに私のコールサインは東北エリヤ。マイクの向こうから、車は電波で誘導される事になりました.細い路地のような所、左に〇〇郵便局、右に○○交番所、続いて公園、そこは青いテントを張った避難所になっている所ですよ、云々。まるで私の車を高い高い所から見ての、誘導のようです。尼崎から4時間余り、やっとの思いで車を止めた地点は神戸、住吉小学校がある交差点、西宮からの電波のメリッ卜は完全に落ち、通信困難な状態。名前も顔も知らない人にお礼の頭を下げ、避難所でのボランティアも無事終了できました。

 行く手を導いて居られる神様は、不思議に思える事を様々なさいます。共にいて下さる素晴しい神様に見出された私は幸せ者です。