月刊アッセンブリーNews 2012年5月号

小さなことに誠実でありなさい

高口民子 (川尻キリスト教会)

  有能な映画監督は書かれた文字を読み込んで想像力を膨らませ、映像を作り上げていきます。そして、作品を通して人々に感動を与えます。

今年も母の日を迎えます。この日は、皆さんもよくご存じのように、アメリカのある教会で、長い間、日曜学校教師として奉仕し続けた母親の追悼式で、娘アンナが母への尊敬と感謝を込めてカーネーションを献げたことが、多くの人々に感動を与えた事から始まったといわれております。

私事ですが、長男が5歳の時でした。幼稚園に迎えに行った帰りの自転車で、後に乗っていた長男が、走り出してすぐに「お母さん、お母さんていい匂い、洗濯していた匂いでしょ!シャボンの泡の匂いでしょ!」と元気な声で歌い始めたのです。続けて2番。「お母さん、お母さんていい匂い、お料理していた匂いでしょ! 卵焼きの匂いでしょ!」。私は嬉(うれ)しくなって、一緒に何回も何回も繰り返し歌いながら、ペダルを踏んで家に帰った思い出があります。

あれから30余年。今度は、同じ歌を3歳の孫娘が長女の膝(ひざ)の上で、母親に歌っているのです。聴きながら一緒に歌っている長女も、子育ての苦労も忘れたかのように嬉しそうでした。

お母さんの歌は、洗濯だの、料理だの、手袋編んでる姿だの、どれもみんな日常の働きのことばかりです。だからでしょうか。子供たちが母親を歌う時、実感として「ありがとう」の気持ちで元気よく歌ってくれるのかも知れません。

タイトルに書きました言葉はマザー・テレサの言葉です。彼女はこう言いました。「小さなことに誠実でありなさい。その中にこそ、力があるのです」。この言葉通りに、マザー・テレサはインドで、かえりみられず死にゆく人々を受け入れ、その魂に寄り添いつつ、日々の生活に必要なものを備えるために労苦し、日常をともに生きて生涯を終えられました。尊いお姿です。

母親に象徴される日常の働きは繰り返しであり、小さなことかも知れません。しかし、その小さな事を忠実に行なう時、それは人を動かす大きな力となることを思い、私も小さなことに誠実であり続けたいと願っています。

「良い忠実な僕よ、よくやった。あなたはわずかなものに忠実であったから、多くのものを管理させよう。主人と一緒に喜んでくれ」(マタイ25章23節)。