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 甲府に住みついてから度甲府駅に汽車を見に行事やら出て行く汽車入る汽車汽車がなつかしくて仕方がないのだ
 この汽車は八王子追分町のあの急カ丨ブを汽笛を鳴らして走て来たのだその近くにウングラ丨先生が住んでいるあの素晴しい教会がある八王子の群が居るものが言えたならこの汽車に馳けて聞いてみたい思いで一杯だいつのまにか涙が流れている当時は甲府駅が一番好きな所であたしまた何か心が休まるのが不思議な位でした年老いた今振返見て若かたのだな丨となつかしい思いです



教団ニュース・アッセンブリー 1978年10月1日発行 通巻276号
《福音版・朝ドラ!?信仰生涯の物語》

『甲府伝道の思い出』

 甲府に落つき近所の方々にも馴れて来て神が甲府の魂のために私をお遣しになた事を思うと勇気百倍
 ロマ八章二八節に神は神を愛する者たちすなわち御計画に従て召された者たちと共に働いて万事を益となるようにして下さることをわたしたちは知ている
 このみことばが心に一杯にあふれてくる喜びと一緒に確信が胸を打つ思いさてみことばの種をまき始めよう神は一人の私を励まして下さる篠竿ささざおの先にぶらさがた提灯に表面に神は愛なりとあり教会名は日本ぺンテコステ教会とあり後に白木町二八番とあそれに大太鼓町角に行くと提灯を手頃な場所にひかける幸いにも神から与えられていた大声を何よりの頼みとして太鼓に合せて歌いだす
 十字架にかかりたる救主を見よやこわがおかしたる罪のためただ信ぜよただ信ぜよ信ずる者は救われん
 懸命に歌いましたあの角でこの角であちらの広場で雨のない限りは路傍伝道でみことばを語ると同時にやがて白木町二八番地にキリスト教会が開始されることを伝えた
 伝道開始一ヶ月間路傍伝道で教会所在地とキリスト教伝道開始は充分に人々に告げたはず丁度その頃八王子の製糸工場で働いておりまた熱心に教会に出席し共に働いている工場内の友を集会に導いていた富永きた姉が体の具合が悪くて工場に働く事が出来なくなて山梨県の実家に帰ておりました甲府に来まして体が弱くて工場では働けないので甲府教会に置いて欲しいとの事なのです早速ウングラ丨先生と相談の結果迎える事になたのです富永さんは本当に弱り切た体でした
 しかし床に付く事もなく信仰と祈りそれに日頃の生活の注意で薄紙うすがみをはぐごとくに体が力づき若さを取りもどしたのでした これで路傍伝道の提灯持ちが出来たわけです体力を失ていた富永さんには路傍で歌うのはまだ困難らし口だけは動くが声が出てこない神様はこの富永さんのために聖書のみことばのごとくに栄光の業を与えて下さいました 甲府に来ましてから一二ヶ月後に体重を計りましたら一貫目かんめ・約3.7キロも肉付いたのでしたしたがて体の動きも良くなて来ました神様は甲府伝道のためまた信仰を使うために体の弱り切た富永さんを遣わして下さ私たちは本格的に伝道を始めました
 私にとて全く知らない町で共に祈り合える人が与えられた集会所があるがそこには机一台と太鼓があるだけオルガンも何もないでも聖書があこのみことばが今後を決定づけてくれるのだそう思うと心がはずんでくるのです神の約束は堅私が自分を返り見るならあまりにも力がなさすぎるので恐ろしいでも私ではない私を知りつくした神が私を召して下さロマ八章二八節のみことばを信じ励まきれ望みを神にもて立ち上たのでした



 甲府にての一番目の伝道集会
 この夜は今までの路傍伝道とはわけが違う伝道集会なのであ相当に緊張しながら出かける前に祈る総勢しめて二人であ強められたとは言えまだまだ弱々しい彼女でも提灯持ちが居るとはうれしかこの夜の路傍集会は教会のごく近くの四つ角で大太鼓を叩いて始めたのです教会の近くではこれが始めてでした静かな夜の町に突如として太鼓のひびきに合せての歌声は人々を驚かせたのです 飛び出して来て見れば近頃八王子からて来たヒヤズイムスメ若い娘が女だてらに太鼓を叩いて大声で歌うとはこれだけで当時の甲府人には驚きでした歌うのはただ信ぜよただ信ぜよ信ずる者はみな救われん私は必死なのです
 自分の育た町八王子しか知らない私今までは多分にウングラ丨先生の後ろにおれた私が甲府では全く知る人のない町黒々とそびえたつ山に包まれた町角で物見高く集て来た人々に取りかこまれて語る自分心の中では祈り続けている神様助けて下きいこの人々のために私をお使い下さい神が共にいて下さると感ずる心は感謝で一杯この事のために神が私をお置き下さたのだと思うと確信が溢あふれてきました
 この時です一人の白衣裳の男の老人が険しい態度で私の話ている前に足台を置きその上に登り大声で諸君迷うなかれと叫び出しキリスト教の悪口を一心不乱にしべり出して騒ぎ出したのです私たちは大声で案内しました只今よりキリスト教の伝道集会が教会内で開かれますどなたもお出で下さい
 これが第一の出来ごとでしたこの老人は甲府の町を二つに分けた一方の山の手の町の神社の神主でした

坂本キミ師(1903年~1989年)

坂本 キミ先生

第2次大戦前から八王子を中心に、甲府および蒲田などで、熱心に伝道をなされた「生粋(きっすい)のペンテコステの偉大な伝道者」(弓山喜代馬師談)です。