旬のシビ(
”シビ”れる美味しさ!

 

冬のマグロに”マクロ”(大き)な
栄養あり!

 栄養士から見た

 心と体の健康 Vol.11

月刊アッセンブリーNEWS 2016年11月1日号より

汐澤美紀
 Miki Shiozawa
八王子シャロン教会

 


「主は、魚(うお)に命じ、ヨナを陸地に吐き出させた。」

(ヨナ2:10)

 

 日本人はもちろんのこと、古代から地中海周辺の人々はマグロを食べていました。古代ギリシャの三大悲劇作家のアイスキュロスはマグロ漁を例えにサラミスの海戦の勝利を戯曲に描き、歴史家ヘロドトスもマグロの詩文を『歴史』に書き、アリストテレスはマグロの生態を書いて世界最初の魚類学者となりました。イエス様と同時代の食通家のアピキウスはマグロに用いるソースを考案し、イエス様より20 歳ほど若いプリニウス(大百科全書家)もマグロについて書いています。さらに、ローマのペルシウス(1 世紀の風刺詩人)はユダヤ人もマグロを食べていたということ――安息日に「鮪(まぐろ)の尻尾(しっぽ)」を料理として供されている情景――を風刺詩に残しています。ローマに滞在したパウロも確実にマグロを食べていたと思われますし、イエス様もマグロを食べていたかもしれませんね。

 日本でも貝塚からマグロの骨が出土し、日本最古の歴史書『古事記』に”シビ”と言う名でマグロが書かれています(シビは今も方言でマグロを表しています。大分県のしびうら(鮪浦)、宮城県のしびたち(鮪立)と言う地名は昔のマグロの名前の名残)。このようにマグロはギリシャ人、ローマ人、ユダヤ人、もちろん日本人も昔から食べていた人気の魚だったということがわかります。

 マグロの旬は冬! 旬のマグロは脂が乗っていて美味しさも”シビ” れますが、栄養量も増え、身体にも良いのです。特に脳などの神経系に良いDHA の含有量が魚の中で群を抜いて一番多い食べ物なのです! 古代ギリシャ人、ローマ人やユダヤ人の文明の高さと頭の良さは、もしかしたらマグロのおかげかもしれませんね。さらに、マグロには肉体と精神の疲労に効くアンセリン(イミダゾールペプチドの一つ)も豊富。ちなみにこのイミダゾールペプチドは最新の研究ですと記憶改善にも役立つそうです。認知症予防に役立つかどうかと解明が進められているアミノ酸の一つです。また、血液の健康を保つEPA 、コレステロール低下や肝臓強化に優れているタウリンも豊富。

 しかし、マグロは大きいもので500kg ~ 600kg にもなるので、部位によって味わいも栄養素もずいぶん変わります。赤身にはたんぱく質やナイアシン、タウリンが多く、トロにはDHA 、EPA 、それらの酸化を防ぐビタミンE が多く、血合いには鉄やビタミンB が多いのです。尾びれの周辺はアンセリンが多く含まれています。このように部位によって含まれる栄養素が違いますから食べる部位や量を調整しましょう。ちなみにトロはビタミンA が赤身の約3倍、カロリーも約3倍。脂質は約20倍も多いので、美味しいトロの食べ過ぎは脂質を過剰にトロ込んで……取り込んでしまいます。注意しましょう。

 美味しさ”シビ”れるマグロを食べて、御言(みことば)に親しみ、頭脳明晰(めいせき)、心も身体も健やかに血液もサラサラで更に主に従って行きましょう! 

 

心と身体の健康シリーズは今回で終わりとなります。ありがとうございました。