月刊アッセンブリーNews 第721号 2015/10/1発行より

霊によって満たされる

今回は、文法学者の研究を基にエペソ5章18節の「霊に満たされ」を見て行きましょう。日本語訳を見る限り、「御霊(みたま)が私たちの内に満ちる」と理解する人が多いと思います。該当する場所の原語を見ると πληροῦσθε ἐν πνεύματι となり、それぞれ πληροῦσθε は動詞「πληρόω(満たす)」の命令形(受動態)、ἐν は前置詞「において、によって」、πνεύματι は名詞「霊」の与格形となります。これを直訳すると、「霊において(あるいは霊によって)満たされなさい」となります。

 通常、πληρόω(満たす)の後には属格の名詞が続いて、満たす「中身」を表しますが、πληρόω+ἐν+与格を用いて「中身」を表すことはありません。少なくとも聖書ギリシャ語においては他に例がありません。それゆえ、字義的に訳すなら「霊に満たされなさい」ではなく「霊によって満たされなさい」というのが最も適切なものとなります。

 では、御霊を媒介として満たすお方、また、満たされる中身は何になるのでしょうか。その鍵はエペソ書の中で繰り返し用いられる動詞­ πληρόω にあります。エペソ書においては三位一体の神に関連して πληρόω が用いられています。3章19節には「神の満ちあふれる豊かさのすべて」に満たされるようにと祈り、4章10節にはすべてのものを満たす方はキリストであると語られています。その後、5章18節に至って、御霊を媒介とし満たされるようにと語られていることを合わせて考えると、信者はキリストによって、御霊を媒介とし、神の満ちあふれる豊かさに満たされるように、というのが結論ではないでしょうか。

 

  決して御霊自体に満たされる事を否定するものではありません。しかし、この箇所の意図としては、愚かな無分別な者となるのではなく、御旨(みむね)を悟るものとして、キリストにより御霊にあって、神の豊かさに満たされるようにと勧めています。

※ 聖書ギリシャ語には4つの格があり(主格、属格、与格、対格)、名詞や
 形容詞などは、同じ単語でも意味に合わせて語形変化します。