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学生と先生の対話でわかりやすい ♪
三位一体の教理 その2
-実を結ぶ教会の努力-
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前回はニカイア公会議(325年)まで話したね。このときニカイア信条が制定され、御子キリストが父なる神と同じ本質をもつ神であることが確認された。
2008年4月1日発行 通巻631号
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野口 一郎(大津キリスト教会牧師)
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ところがその直後からこの信条は激しい反発に遭う。
中心的役割を果たしたアタナシウスは5回も追放されてしまう。
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そう聞くと三位一体の教理に自信がなくなりますよ。
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まあ、あわてないで。反発があったのは御子を神と認めないからではない。反発の理由のひとつは「ホモウシオス(同質という意味)」という語をニカイア信条が用いたことだ。
このことばは以前、異端に用いられていたので多くの人が拒絶反応を引き起こした。さらに、キリストが父と同質となると父と子の区別がなくなり異端とされたサベリウス主義に陥るのではないかという強い警戒心もあった。あるいは三神論になってしまうのではないかという危惧もあった。
人々はアリウスに賛成しているわけではない。実際、いくつもの地方会議が開かれいろいろな信条が制定されたが、どれも御子が被造物であることを明確に否定している。エホバの証人が批判するように、教会が聖書の中にない教えを作り出したと考えるのは大間違いだ。教会は、すでに聖書の中にある真理をどのように正しく理解し、ことばで表すことができるか努カを重ねていたんだ。
その結果、コンスタンティノポリス公会議(381年)で、先のニカイア信条を再確認して、ニカイア・コンスタンティノポリス信条が制定された。改めてアリウスの教えは斥けられ、三位一体の教理が確立することになったのだ。
-明らかになる聖霊の教理-
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もうひとつ大切なことがある。二つの公会議の間で聖霊についての教理がはっきりしたことだ。
アリウスは聖霊を御子によって最初に創造された被造物だと言っていた。
それに対して、カパドキアの三教父と呼ばれる人たちは聖霊も神であることを主張し、「神しかできない働きを聖霊はされる、そうならば聖霊も神である。どうして被造物が被造物を神に似るものとすることができるだろうか。」と教えている。
こうして、ニカイア信条では「聖霊を信ず。」で終わっていたが、ニカイア・コンスタンティノポリス信条では、聖霊は父と御子と共に礼拝されるべき方として告白されるようになったんだよ。
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混乱に見えるような時期がよい結果につながったんですね。
ここに神さまのご計画と導きがあるように思います。
-謙遜さと礼拝の姿勢-
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最後にアウグステイヌスという人のことを話そう。彼は『三位一体論』を記し、父・御子・御霊が一体であり、三者の関係が重要であることを説明した。
彼の教えはプロテスタント教会に大きな影響を与えているんだ。
でも彼は約二十年かけて書いた書物をこの祈りで結んだ。「わたしの神、主よ、あなたを求めるカを与えたまえ。…わたしをあなたの許(もと)に止まらせて下さい。アーメン。」
神を理解することを求めても、人間の知恵で神を理解し人間のことばで神を表すことには限界があると悟り、それによってますます神の偉大さを知る。
私たちもアウグスティヌスと同じ議遜さと神への礼拝の姿勢を抱きながら、神のことばを学ぴ告白していきたいと願うものだ。
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さらに学ぶために、アリスター・マクグラス著『神学のよろこぴ』(キリスト新聞社2005年)をお薦めしよう。
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